クリニャンクールの犬
パリに行ったらクリニャンクールの蚤の市に行くと決めていた。
西洋アンティークの掘り出し物を探すためである。
セーヌ河畔を歩いて、シテ島の駅から一人でメトロに乗った。
らせん状の階段を下りた人通りのすくないメトロの駅は、殺風景で
さすがの私も、
「こわーっ」と思ってしまった。
そう思うと、周りの人たちがみんな怪しい人に思えてくる。
次の駅名を確認しているボードの前に黒人男性が急に立たったりすると、
この人は絶対あやしい、とか思ってしまう。
ようやく駅について地上に出ても、蚤の市にいくまでの道には、両側に露店が立ち並び、物売りの黒人男性がひっきりなしに品物を勧めに来る。
またまた「こわーっ」とか思ってしまう。
私が中国人にしか見えないのか、「ニーハオ、ニーハオ」と呼びかけてくれる。
あとで、「そんなくらいで怖がっていたら、私たちのホテルには泊まれない。」と
ちょっとの時間でパリに飛んでいく、パリ通の友達に笑われた。
やっとの思いでたどり着いた蚤の市はきっちと区画整理されていて、高級なアンティークのお店が沢山出店していた。
アンティークのドレスを探していると、店の前に白と黒の大きな犬がゆったりと座っている。
パリの犬はどの犬もお行儀がよく、無駄に吠えたり、騒いだりしている犬はほとんど見かけなかったけれど、中でもこの犬は風格があって特別立派であった。
クリニャンクールのわんちゃん、
また、必ず会いに行くからね。