快適、介護タクシー
87歳になる母は車椅子生活である。最近は一人で立つことも困難なので、車の助手席に乗せて、移動することも不可能になって来た。
そこで、車椅子ごと乗せられるように、車の後部座席を改造しようと思ったのだが、ものすごい金額がかかりますよ、車屋さんに止められた。
それなら、もともと車椅子を設置できる車に買い換えようかと思ったのだが、これも結構高額になる。
ということで、当面は介護タクシーというサービスを利用することにした。
このタクシーを知ったきっかけは、たまたま運転していた車の前に、介護タクシーと書いた電話番号つきの車が走っていたからである。早速、番号をメモってかけてみた。
結構大きなハイエースくらいの車で、車椅子が2台も設置できるようになっていて、おまけに付き添いも一緒に乗ることができる。
介護サービス付きのタクシーだと、車椅子の本人以外同乗できないそうだが、このタクシーは、3人くらいは同乗でき、通常のタクシーのようにメーターでは走ってくれるのである。
金額は普通のタクシーの3倍くらいだろうか。
大変便利であった。
いつもは口をへの字に結んで、何も面白くなさそうな母親も、久しぶりに目を輝かせて、ショッピングモールで買い物をした。
やれやれよかった。これで、また少しは生きる楽しみを持ってくれるだろう。
それにしても、最晩年を面白くなさそうに過ごしている人に、何とか楽しんでもらおうと思うのは何としんどいことであろう。
ここでまた一つ、母から学んだ。
どんな環境になっても、何か自分で楽しみを見つけられるような、そんな老人にきっとなろう、と。