想い鳥日記(omoidori`s diary)

日々のつれづれを心のままに、想い人に捧ぐ

ただ一つ、親ができること

 

f:id:omoidori5:20151011211625j:plain

大学の卒業前に引きこもってしまって、4年も5年も自宅から出なかった知り合いの息子さんが、何と最近一人で渡米されたらしい。詳しいことは聞かなかったが、自分で計画をたてて、しばらくアメリカで暮らすという。

 「よかったですね。」とは言ったものの、親御さんにとっても勇気のいる選択だったろう。

「自分で決めたことやし、好きな生き方をさせてやるほうがええやろ。」

普段は冗談ばかり言っている父親が、珍しく真顔で話していた。

「何も思わんようにしてんねん。アメリカで銃で撃たれそうになっても、助けてやれやんのやから、いくら何を思ってもしょうないし、」

 父親はもとより、母親の気持ちはいかばかりであろうか。国内でも離れて暮らしている子供のことは、何かと気にかかるものである。

  昔、尊敬する多田道夫先生が、ご自分のご子息のことを、「苦労の種です、」とおっしゃっていたことがあった。あんなに立派な人でも、そんなことを思われるのだな、と。その時は妙に納得した。

 親になるということは、まるで修行だ。

親にできることはもう、ただ一つ、祈ることだけである。

 アメリカへ飛び立った息子さんを持つ知人夫妻も、きっと、いつも子供の無事を祈り続けているのだろう。

 どうぞ、その祈りが届きますように。