他と協調すること
先日、やっと民謡の発表会が終わった。
踊りなら何でも好きなので、運動のつもりで参加していたのだが、
何分、講師先生の86歳を筆頭に、80代が2人、70代が2人、あとは65歳と私である。
民謡なので一回に3分もかからないし、皆さんご高齢なので、10分も踊れば1時間は休憩するといった民謡教室である。
何分私が一番若いので、何かと風当りも強い。
舞台の前の化粧の際にも、70歳になる一人は「あんまり化粧をきれいにせんといてよ。私の隣やし。」とか言って、自分は必死で塗りたくっていた。
げげーっ。この人に対抗意識を燃やされているのか。と思わずぞっとしたりする。
民謡の舞台は全体のきれいさを競うので、自分一人が目立ってはいけないのだけれど、この協調するっていうのが、難しい。
やっぱり、向いてないよね、民謡は、とか思っていたら、目に飛び込んできた張り紙が、
知識や能力は他と協調することによって、大きくいかされていく、だって。
他と協調することって、ほんと苦手です。
快適、介護タクシー
87歳になる母は車椅子生活である。最近は一人で立つことも困難なので、車の助手席に乗せて、移動することも不可能になって来た。
そこで、車椅子ごと乗せられるように、車の後部座席を改造しようと思ったのだが、ものすごい金額がかかりますよ、車屋さんに止められた。
それなら、もともと車椅子を設置できる車に買い換えようかと思ったのだが、これも結構高額になる。
ということで、当面は介護タクシーというサービスを利用することにした。
このタクシーを知ったきっかけは、たまたま運転していた車の前に、介護タクシーと書いた電話番号つきの車が走っていたからである。早速、番号をメモってかけてみた。
結構大きなハイエースくらいの車で、車椅子が2台も設置できるようになっていて、おまけに付き添いも一緒に乗ることができる。
介護サービス付きのタクシーだと、車椅子の本人以外同乗できないそうだが、このタクシーは、3人くらいは同乗でき、通常のタクシーのようにメーターでは走ってくれるのである。
金額は普通のタクシーの3倍くらいだろうか。
大変便利であった。
いつもは口をへの字に結んで、何も面白くなさそうな母親も、久しぶりに目を輝かせて、ショッピングモールで買い物をした。
やれやれよかった。これで、また少しは生きる楽しみを持ってくれるだろう。
それにしても、最晩年を面白くなさそうに過ごしている人に、何とか楽しんでもらおうと思うのは何としんどいことであろう。
ここでまた一つ、母から学んだ。
どんな環境になっても、何か自分で楽しみを見つけられるような、そんな老人にきっとなろう、と。
平気で盗む人々
地元の大学のキャンパスでのこと。自動販売機で缶コーヒーを買うのに、小銭がなかったので千円札を入れた。商品のボタンを押すと同時くらいに携帯電話の着信があったので、一瞬、缶コーヒーとおつりをそのままにして電話に出た。
その間、10秒くらい、電話を切って、缶コーヒーとおつりを取り出そうとすると、880円あるはずのおつりが一銭もなかった。
何と素早い。目ざとい学生が持って行ったようだ。
これは、明らかに泥棒ではないか。電話しているおばちゃんのおつりだってことくらいわかるはずである。
最近は、大学のキャンパスでも油断大敵だな、とそれからは机の上にパソコンを置いたまま、トイレに行くのもはばかられた。
大学生でもか。と思ったのには理由がある。
同じころ、中学校の音楽室から、買ったばかりのDVDプレーヤーが盗まれたからである。
最新式のノートパソコンくらいのサイズのプレーヤーだったから、ちょうど中学生のカバンにでも入ったのだろう。誰が盗んだのか、未だにわからない。
教室から金品が盗まれたり、職員室の机の封筒に入れてあった2万円がなくなっていたりしたことがあったけれど、DVDまで盗む生徒がいるのかと、本当にその時はがっくりした。
フランスのルーブル美術館では、1フロアに6,7人はスリがいますよ、ということだった。彼らにとって、泥棒は一つの職業だそうである。
悲しいけれど、人をみたら泥棒と思え、というのも一理あるのかもしれない。
そして明らかに、その素養は子供のころからある。
残念だけれど、これも一つの事実である。
長寿の秘訣は物欲かも?
その茶道の先生は90歳を超えられているというのに、まだ茶道具がほしいらしい。
先日、買ったお茶碗の代金を郵便局まで振り込みに行ったのだけれど、そこでこんな会話になった。
「おばあちゃん、何買ったの?」
「ちゃわん」
ちゃわんに何十万円もおかしいと思った局員に、てっきりボケ老人と思われて、結局代金を振り込めなかったそうである。
60代も後半になると、
「もう若い頃のように、ほしいものがなくなった。」とか。
「もう、何にもいらんのよ。」とか言っている知り合いの人も多いのだけれど、
いえいえ、この茶道の先生のように、まだまだ良い茶道具がほしい、というこの限りない物欲、さすがです。
これこそが健康長寿の秘訣では?
「そんなにあるのに、まだほしいんかい?」とか言ってはいけないのです。
茶道の世界では、一度お披露目したお道具は、目あかがついたっと言って、二度と出さないんだって。
茶道の師匠も大変ですね。
でもだからこそ高齢でもカクシャクとなさっていられるのです。
物欲こそ、長寿の秘訣です。
ただ一つ、親ができること
大学の卒業前に引きこもってしまって、4年も5年も自宅から出なかった知り合いの息子さんが、何と最近一人で渡米されたらしい。詳しいことは聞かなかったが、自分で計画をたてて、しばらくアメリカで暮らすという。
「よかったですね。」とは言ったものの、親御さんにとっても勇気のいる選択だったろう。
「自分で決めたことやし、好きな生き方をさせてやるほうがええやろ。」
普段は冗談ばかり言っている父親が、珍しく真顔で話していた。
「何も思わんようにしてんねん。アメリカで銃で撃たれそうになっても、助けてやれやんのやから、いくら何を思ってもしょうないし、」
父親はもとより、母親の気持ちはいかばかりであろうか。国内でも離れて暮らしている子供のことは、何かと気にかかるものである。
昔、尊敬する多田道夫先生が、ご自分のご子息のことを、「苦労の種です、」とおっしゃっていたことがあった。あんなに立派な人でも、そんなことを思われるのだな、と。その時は妙に納得した。
親になるということは、まるで修行だ。
親にできることはもう、ただ一つ、祈ることだけである。
アメリカへ飛び立った息子さんを持つ知人夫妻も、きっと、いつも子供の無事を祈り続けているのだろう。
どうぞ、その祈りが届きますように。
勉強神経、ある?ない?
以前、塾の経営をしていた友人が言っていたことがある。
「 運動神経というものがあるやろ。100メートル何秒で走れるとか、
運動神経の良い者に、運動神経の悪いものは、いくら努力してもかなわんやろ。
それと同じや、勉強にも勉強神経というものがあって、勉強神経の良い者に、ないものはいくらやっても、かなわんのや。」
それ以後、勉強のできない生徒に、どうしてこんなこともできないのか、と悩むことを辞めた。
確かに運動神経はよくわかる。大体、足の早い生徒は運動神経がよいとされる。けれど、陸上部のキャプテンが、球技になるとさっぱり、ということもある。
やはり、運動神経にもいろいろあるのだろう。
とすれば、勉強神経にもいろいろあるのではないか。
教師であったときの成績の観点などには、思考力だの、理解力だの、創造性だの、表現力だの、知識力だの、と沢山あったけれど、それらすべてに優れているというのが、勉強神経がよい、ということだろうか。
中学校程度の勉強で試されているのは、ほとんどが記憶力だと思うけれど、記憶力がよい生徒と、悪い生徒というのは、絶対にいたね。
けれど、アインシュタインなんかは、記憶するのが苦手みたいだったしね。
運動神経があるように、勉強神経があるって、どういうこと?
もっと、つっこんで聞いておけばよかったな。
子供の貧困問題、負の連鎖を断ち切るには
中学校の教師をしていた時、なぜ、問題児がなくならないのか、友人と話をしたことがある。阿部首相の社会保障対策に、子供の貧困家庭問題が入っていたので、ふと、思い出した。
当時、中学校3年生でも、掛け算が出来なかったり、簡単な漢字が読めない生徒が普通学級にも2,3人はいた。大体そんな生徒が授業についていけなくて、問題行動に走ることが多いのだけれど、例えば、彼女たちを何とかそれなりのレベルの高校へ入学させたとする。けれどもそのうちの7割ぐらい、ある年では、9人のうち7人はやっと入った高校を中退してしまうのである。
そして、100パーセント、水商売に入る。
そのうち通ってくる男とくっついて、同棲やら結婚やらののち、必ず子供ができる。
彼女たちの繁殖力はすごいと思う。けれど、生活が成り立たないのか、お互い若すぎたのか、やがて、男と別れて子供を連れて帰ってくるのであるが、実家の親が裕福をいうことは珍しく、こうして子供の貧困家庭が増えていく。そして、その子供がまた、同じように問題行動を起こす。
この負の連鎖をどうやって断ち切ったらよいのか。という問題である。
一方、分別のある若者は、安易に結婚をしないし、子供も作らない
自分の生活のことや、子供の将来のこと、これからの地球環境のことまで考えてかどうかは知らないけれど、独身の若者、とくに独身女性が以前の職場でもいっぱいいた。
子供の貧困家庭を救えというけれども、このままでは簡単に子供を作ってしまった家庭を、考えすぎて子供を持てない若者たちが税金で助けるという、奇妙な構図になってしまう。
まず、子供の貧困を引き起こす原因を突き止め、子供の貧困家庭が生まれない対策を考えるべきではないのか。
そのためには、9人のうち7人はやめてしまう高校教育あたりから対策をとらないとね。