日本舞踊 究極の大道楽
10秒1万
これが今回の舞台にかかった費用であります。
1分で6万円円
ということは、1秒千円也
15分踊って90万円、何やかや入れて、やっぱりざっと100万円。
高いと思いますか。
安いと思いますか。
県民文化会館の大ホールの舞台ですよ。
これ以上の舞台装置はない というくらいの凝った舞台を何人もの男性が
立ち働いて作ってくれるのです。
衣装はというと、究極の豪華な打掛を2枚も着替え、豪華な刺繍が金糸、銀糸でこれでもか、と輝いている真紅の着物に、これも刺繍があでやかな紫の繻子の帯をしめるのです。
かつらは、玉や鼈甲の簪が、びっしりついている4キロもある楯兵庫。
なんてったって花魁なんだもん。
化粧は言わずと知れたドーラン化粧、顔なんか、まったく誰だかわからない。
ともかく、すべてにど派手なのです。
そんな舞台でそんな衣装をつけて、
15分間、15分間だけ、大舞台を貸し切って、たった一人で踊るのです。
燦然と輝くスポットライトを一身に浴びながら。
で、1秒ごとに千円札を15分間ばらまいていくほどの費用がかかったというわけですが、
高いと思いますか。
安いと思いますか。
高いと思う人には日本舞踊は向きません。
安いと思う人だけが、できるのです。
ただし、日舞の本舞台を経験した人が皆、
安いと思っているわけでは、ありません。
日本舞踊はお金がかかる、というのが、
なぜ、世間の常識となっているのか。
きっとみんなが,大金を払ったことを
後でぶつぶつとこぼすからでしょう。
舞台に出た人がみんな、喜んでお金を払っているわけでは
ないのです。
みんな、しょうがないなあと思いながら払っているのです。
ひと時の、エクスタシーのために。
まあ、例えれば、結婚式の花嫁みたいな
ものでしょうか。
ひと時主役を張れるという快感、
みんなの注目を一身に浴びるという恍惚感、
1秒ごとに千円を払っても惜しくない
と思えるほどの自己満足。
ところで、わたしですが、
もちろん、価値のあるお金の使い方と思っているから
できるのです。
でもね、
この大贅沢、家族には、絶対に内緒だぜ。